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2020-08-11

第11回:無我夢中

こんにちは。宮元です。

いいことというのは、何と研究室の教官から、実験装置から得られるデータを直接処理するマイクロコンピューターを製作しないかとお誘いを受けたのです。それまで実験で得たデータはオフラインで大学のコンピューターに入力・処理していたのを、オンライン処理に変えようというのです。

当初から既製のマイクロコンピューターを使ってという発想はありませんでした。実際、採用するマイクロプロセッサーを決めて、回路図を描いたうえで必要なパーツを個別に買い集めるというやり方でした。もしこの研究室が、データの処理を最重要課題、最優先ミッションと位置付けていたら、こんな泥縄式ではなくて、さっさと既製のものでやっていたはずです。学生に何かさせようという意図があったものと考えています。

さて、マイクロプロセッサーは、16ビットで雑誌等で取り上げられることが多かった米国テキサス・インスツルメンツ社の「TMS9900」に決めました。早く入手して技術文書を読まないと全体の回路が描けなかったのです。当時のマイクロプロセッサーは、長方形のセラミックまたはプラスチックの両側に百足のように脚がたくさん出た形をしていました。これら脚一本一本の働きを理解しないと回路図は描けません。

寝る時間も惜しみ(昼間寝て)、無我夢中で回路図を描き上げました。ただし、マン・マシンインターフェースはスイッチとLEDのみ、簡単なプログラムの確認ができるだけというレベルのものです。それでもなかなか意図したとおりには動いてくれなくて、卒業式の日にも何かしていたように思います。どういう状態にして大学を去ったのか今では記憶がありませんが、後を引き継いだ後輩は大変だったでしょう。

なんたって、「コンピューター、ソフトがなければただの箱」というような川柳が読めるくらいにソフトウエアの役割は大きいものです。オペレーティングシステムとまではいかなくても、モニタープログラムと呼べるくらいの機能をもったソフトウエアを用意しないと、ハードウエアの力を発揮させることはできないし、何よりも使いづらくてたまらないと思います。気にはなるのですが、この頃はもう引越しや待っている仕事のことで頭がいっぱいになっていました。

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