ホーム > 国際機械工学科 > ものづくりのプロセス

ものづくりのプロセス

ものづくり工学科・小林敏則です。
平成31年度に生まれる「ものづくり創造学科」の目指すものについて、ブログ上で説明します。

ものづくりとは
 ものづくりとは幅が大変広いものです。工業製品に限らず、農作物や料理、芸術作品などもものづくりといってよいと思います。

ものづくり創造学科がめざすものづくり
 ものづくり創造学科が考えるものづくりは、「アイデアをかたちに」することです。機械や工具を使って部品を作ること、部品を組み立ててメカニズムにすることもあります。これを動作させるときはモーターなどの動力を使います。電気回路や電子回路と組み合わせることもありますし、プログラムを組み込んで自動運転させることもあります。

ものづくりの具体例(1)
 例として、図1のようなミニスターリングエンジンカーでものづくりのプロセスを考えてみます。

s1
図1 ミニスターリングエンジンカー

1) 何を作るか・・・手のひらサイズのスターリングエンジンカーを作りたい。
小型のものであれば、いろいろな人たちの興味をひきやすいのではないか。図2のような模型スターリングエンジンを走らすことはできないかが発想の原点です。
s2
図2 注射器を使った木製スターリングエンジンカー

2) プランニング・・・手書きでスケッチするなどしながらイメージを作ります。
「このエンジンに後輪二つをつけてやれば車になるのでは・・・」

3) 形にする・・・図3のように3D-CADで形状を描きます。
画面上で部品同士の干渉チェックもできます。3Dプリンタで部品を作ることもあります。

s3
図3 3D-CADで作ったスターリングエンジンカー

3Dプリンタで形状を決めると、図面は3D-CADソフトに書かせることができます。このプロセスは以前、図面から部品を作成し、組立後に動作確認や干渉チェックしていた時代の流れとは大きく異なっています。こうして作成した図面(製作図)が図4,5です。
s4
図4 ミニスターリングエンジンカーの部品図①

s5
図5 ミニスターリングエンジンカーの部品図②

4) 試作・・・機械や工具を使って部品を作ります。
部品によってはヤスリなどで手仕上げすることもあります。
このエンジンカーでは旋盤(図6)、フライス盤(図7)、ボール盤(図8)や万力や定盤(図9)を使いました。

s6
図6 旋盤(円筒形の工作物を加工する)

S7
図7 フライス盤(平面を加工する)

s8
図8 ボール盤(穴あけ)

S9
図9 万力と定盤(けがき作業)

5) 組立・運転・・・ 部品を作り組み立てても、うまく動くとは限りません。
そこから試行錯誤が始まります。思ったように動かないときは、その原因を考えながら部品の再加工や再組立てが必要になってきます。
このエンジンでも、組み立てたが動かないという状況になりました。組み立てたとき、エンジンの上死点(下死点)で空気を圧縮(膨張)させる手ごたえがないといけないことは、他のエンジンを作った経験からわかっていましたから、十分な機能になるようピストン、シリンダ、シール材、加熱筒などひとつずつを見直していくことにしました。
結果的には組立精度が上がるようにエンジンの過熱筒を工夫したのがよかったように思います。このエンジンでは、動いたときの達成感というより、何とか動いたという安心感のほうが大きかったように思います。

6) 今後の展開・・・教材として取り入れる、外部での展示に使う、オープンキャンパスで活用するなどが考えられます。

まとめ
今回の紹介例には電子回路などは全くありません。次回は電子回路やプログラムを取り入れたものづくりについて紹介します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Home > 国際機械工学科 > ものづくりのプロセス

検索
Feeds

Return to page top